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1.RedmineとBIツールの連携概要
弊社では、プロジェクト管理に必要な情報がExcel、Redmine、勤怠管理システム(OfficeTime365)に分散しており、プロジェクト状況を把握するため複数情報を参照・統合することが手間になっていました。
手間を削減・効率化するため、次の欲張りコンセプトを設定しました。
①お金をかけずに
②情報を統合し
③EVMのエッセンスを取り入れつつ
④ダッシュボードで可視化したい
⑤ついでに経営管理用の情報も拾いたい
実現のためプロジェクト管理ツールを探しましたが、無料ツールだと出来ることに制約があり、有料ツールだと出来ることは多いがお金がかかる上に欲張りコンセプト全ての実現は困難という、よく考えれば当たり前の壁に直面し「ないなら作ってしまえばいいじゃん」という結論に至りました。
新たなプロジェクト管理ツール開発の方向性を「既存サービスやツールを組み合わせ、コーディングは極力回避すること」に定め、実現方法を検討しました。
結果的に、ダッシュボード部分には無料BIツールであるGoogleデータポータル(旧データスタジオ)を、データソースにはGoogleスプレッドシートを使うことにしました。データ発生源であるRedmineと勤怠管理システム(OfficeTime365)はそのまま活用し、Excel資産のみGoogleスプレッドシートへ移行しました。
インターネットで事例検索してみるとGoogleデータポータル(旧データスタジオ)はマーケティング分析への活用が主流のようで、残念ながら参考に出来そうなプロジェクト管理事例に出会うことができませんでした。
そこで本稿では、弊社の取り組みを紹介します。
2. 抱えていた問題
弊社では、プロジェクトを管理する上で把握したい情報が次のように分散していました。
・計画: Excelで受注額、計画(工数、経費、採算)を管理
・工数: 勤怠管理システム(OfficeTime365)で実績管理
・タスク: Redmineでタスク進行管理
これらを使ってプロジェクト状況を把握するには複数資料を参照する必要があり、かつ、正しく把握するには手間がかかっていました。
また、計画や実績工数は経営レベルで使われており、プロジェクトレベルではRedmineのみが使われていました。結果、必然的にプロジェクトのコスト意識は希薄になり、納期を守ってもコストをかけ過ぎたプロジェクトや、いつ終わるか分からないプロジェクトが発生していました。
3. 実現したいこと
前述の問題を解決するため、次の実現目標を定めました。なかなか盛沢山です。
(1)プロジェクト管理
①タスク消化の予実、将来の見通しが把握できること
②工数消化の予実、将来の見通しが、要員毎に把握できること
③製造費の予実、将来の見通しが把握できること
④採算の予実、将来の見通しが把握できること
(2)経営管理
①全社、要員毎、プロジェクト毎に工数予実、将来の見通しが把握できること
②数値に基づく要員配置計画ができるようになること
③会計基準に基づく月別売上が把握できること
4. ダッシュボードで実現できたこと
かけたコストは人件費のみで、目標の大部分を実現しました。頑張りました。
データ加工・統合にあたってはスプレッドシート関数の使用を優先し、どうしようもない部分に限ってスクリプト(Google Apps Script)を使用しました。
従前は分散された情報から数字を拾い目を凝らして見比べていましたが、データが日次更新されるようにしたことと、グラフで可視化されたことによって想像以上に状況把握が手軽になりました。
現在は出来上がったダッシュボードの試行運用を開始しており、管理対象プロジェクトを徐々に拡大している段階です。
(1)プロジェクト管理
■プロジェクト進捗ダッシュボード
一枚のレポートでプロジェクトの様々な状況が可視化され、総合的な評価ができるようになりました。
左上段: プロジェクト基礎情報と、基準日時点での各数値
左中段: タスク消化の予実(バーンダウンチャート)
左下段: 基準日時点での残タスク一覧
右上段: 各月の要員別工数(見通し)
右中段: 日別工数(見通し)と、累積工数予実
右下段: 日別採算(見通し)と、累積製造費予実
(2)プロジェクト管理+経営管理
■工数推移案件別レポート
各月の工数予実・見通しと要員内訳が可視化され、要員配置計画やプロジェクト間調整が容易になりました。全社単位とプロジェクト単位の切り替えが出来ます。
上段:各月合計
下段:要員毎の積上げ棒グラフ
■工数推移要員別レポート
前述の案件別レポートとそっくりですが、プロジェクト内訳が可視化されています。全社単位と要員単位の切り替えが出来ます。
上段:各月合計
下段:プロジェクト毎の積上げ棒グラフ
■工数推移全社レポート
各月の工数予実・見通しが可視化され、要員配置計画やプロジェクト間調整が容易になりました。
左上段: 社内合計
その他: 要員毎のグラフ、人数分あります
(3)経営管理
■売上推移レポート
年度内各月の売上予実・見通しが可視化され、営業活動計画が立てやすくなりました。
上段左: 今年度、売上予実・見通し(各月と累計)
上段右: 今年度、売上実績・見通しのプロジェクト割合
下段左: 次年度、売上予実・見通し(各月と累計)
下段右: 次年度、売上実績・見通しのプロジェクト割合
5. 今後に向けた思い
ダッシュボードの試行運用を続けることで、プロジェクト管理者・メンバーや経営層から「あんなこんなグラフが欲しい」「別レポートにあるグラフをこっちのレポートに付けて欲しい」等、要望が出てくることか思います。要望を元に改善を継続し、皆が簡単かつ確実に分析できるダッシュボードの完成を目指したいです。
弊社と似たような問題でお困りでしたら、お気軽に弊社までお問合せください。
何かお手伝いできることがあるかもしれません。
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これまでの記事
- GoogleスプレッドシートTIPS (2)
- Power Automate Desktop お試し (2)
- RedmineとBIツールの連携 (3)
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